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T.Nishijima

Author:T.Nishijima
2010年2月に妻が脳幹出血で倒れる。2013年3月に白雪姫プロジェクトと出会い、積極的なリハビリアプローチを始めるため、その回復への道のりを記録しようと日記をはじめました。また、このプロジェクトの存在を知ってもらいたいと思っています。
http://www.shirayukihime-project.net/

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ベッドサイドからの景色(9)
< 「ベッドサイド」 そして「夢の雫」 >

「ベッドサイド」 という詩を書いたのは、妻が倒れた日の晩、気がつくと妻の呼吸が止まっていて、もうもどってこないのではないか? と思った時に、悲しみの感情の波が押し寄せる中で、自分の気持ちを書きとめることで「さよならのその時」を自分なりに受け止めようとしていたのだろうと思います。同時に”生きている妻”を僕の心に焼き付ける作業だったように思います。その言葉にメロディーがついて、録音することになったわけですが、佐藤準さんが編曲&演奏してくれたイントロとエンディングは、希望の光を表しているように感じられ、因幡さんはすぐ目の前に妻がいるように、話しかけるように歌ってくれました。この音源が録音されたときに、あぁ、これは「祈り」の歌だったんだなと思いました。

以前、何の本だったか忘れましたが、「祈り」の効果について書かれている本を読んだことがある。同じ植物の種を同じ個数AとBのシャーレに入れる。Aのシャーレに入っている種に、実験に参加している人10名が、毎朝、毎晩、時間を決めて「すくすく、元気で育ってね。愛しているよ。」・・・のようなお祈りをする。Bには何もしない。そうすると、Aのシャーレに入った種からの発芽が早く、成長が促されたという実験だった。その科学的な理由はわからないけど、何度か同じような実験を繰り返してみても、祈りの効果は毎回、表れたという報告をまとめたものだったように記憶している。そう言う意味からも、僕ら家族はいつもそれぞれの心の中で、妻の回復を祈ることをしようと、妻が倒れた日に息子たちと話をした。3年前は、顔をあわせると「やってる?」と聞くと、「やってるよ」と答えが返ってきていたが、最近はみなそれぞれの生活も変わって来ていて、妻も安定しているので、きっともう“お祈り”は続けていないだろう。

最初の病院にいるときに、この曲「ベッドサイド」を妻に何度も聴いてもらいました。妻の大好きな因幡さんの声で「思い」をストレートに届けることができたので、歌詞に託された“祈り”はしっかりと伝わっただろうと思います。


奥沢病院へ転院した頃から、8月の妻の50歳の誕生日に何をプレゼントすればいいのか? 考えはじめていた。松村先生と出会い、ますます妻の意識があるのだという思いを深めていった。しかし同時に色々と不安も出て来ました。意識がはっきりして行くにしたがって、妻は自分自身の“絶望的な現実”を把握していくことになります。声が出ない。四肢も動かない。首も動かない。きっと、最初は理解したくなかったりするだろうが、やっぱり毎日、目をさますとその“現実”を思い知ることになる。意識の回復とともに、妻は“恐怖”と“絶望”を感じていくことになるだろう。そう考えると僕もとても不安になるのだが、不安だと言っているだけでは何も変わらない。次のアプローチを考えなくてはならない。とにかく毎日、声をかけて、勇気づけながら、僕ら家族は何も変わらず一緒に生きていくんだということを妻へしっかりと伝えることが必要だと思うようになった。その上で、妻が感じているであろう“不安”や“恐怖”は現実だと認識してもらわねばならない。その現実の認識の上にしか回復への道はないのだから。

耳元で毎日、コーヒーの香りとともに「大丈夫、大丈夫」と話し続けているのだけど、もっと確実に心に響く方法が必要だった。妻の深層心理というか、潜在意識に訴えるような方法・・・それはやはり<歌>だと思いました。聴覚が一番可能性があるのだろうから、“本気で伝えたい”という気持ちも<歌>にすることで妻に伝わるのではないか。
「生きると決めたのは君だ。生きると決めたことは、その苦難の道を歩いて行くと言うことなんだ。だけど一人だけにさせはしない。一緒に歩いていこう。」・・・というメッセージを歌にして、50歳の誕生日プレゼントとして妻へ届けよう。印象的であればあるほど、しっかりと心の奥底へメッセージは届くだろうと思いました。

この頃、塩入俊哉さんのソロアルバム 「Tokyo 3a.m.」が気に入っていてよく聴いていました。塩入さんの音楽には、大きなテーマとして「癒し」ということがしっかりと音につまっているので、妻にもこのアルバムを聴かせたりしていました。ある夜、妻を見舞い、目の前に顔を近づけて話をするのですが、当時の妻の目は、焦点がどこに合っているのかがわからない状態でした。その時に「君のその瞳、何をみているのかな?」って思った。「僕はいつも君を見ているのに、君の目はどこを見ているのかわからない。。。」そんな思いのまま病院を出て、iPodで塩入さんのアルバム「Tokyo 3a.m.」を聴いきながら自由が丘へ向かった。たまたま「ある夏の午后に」というピアノ曲を聴いているときに、「君のその瞳、何をみてるのかな?」・・・というフレーズがメロディーにリンクしてしまいました。「あぁ、これ、僕が伝えたい気持ちにぴったりだなぁ。」と感じた瞬間でした。このまま伝えたいメッセージをこのメロディーにのせてみたいと、僕の頭の中では自然と詩を作り始めていました。電車の中で作り始めて、自宅そばの駅についてから、ホームのベンチで出来上がるまで座っていました。あともう少しなのに、最後のワンフレーズがどうも見つからなかったのです。ベンチに座り、そこまでの4ヶ月を思いおこしていたのですが、妻が倒れてから、ずっと僕は涙が乾かない、そんな4ヶ月だったなと思いました。その時に、「涙は希望へ繋がる“夢の雫”だったんだな。僕だけではなくて、妻も心の中で泣き続けていただろう、息子たちも、こらえきれない日々があっただろう。そのすべての涙は“夢の雫”だったんだな。」と気がつきました。すっと腑に落ちるように、この言葉がタイトルとなり、歌詞の中に自然にすっぽりと着地しました。

このメロディーはとても美しいが、音域も広く、歌うには難しいメロディーだ。電車の中で詩を思い浮かべながら、いつの間にかイメージは白井貴子さんになっていました。自分の言葉として「虹」という言葉を使うのは気恥ずかしいのですが、貴子さんをイメージすると自然と「虹色」という言葉が使える。歌詞はとても面白い習性があり、歌う人がいてそのイメージによって、使える言葉が変わります。「夢の雫」はメロディーも含めて妖精的というか中性的なイメージで、白井貴子さんに歌ってもらいたいと思いました。この難しいメロディーも、彼女なら綺麗に歌いきってくれるだろう。突然のお願いごとにびっくりするでしょうが、必要性に迫られていた僕は、貴子さんへメールをしました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「夢の雫」

君のその瞳 何を見てるのかな?
僕はそばにいて 君を見てる
話したい事が 沢山あるでしょう?
君の唇が ほら動いた

声は・・・今は出ないよ
それでも生きるって君は決めたね
遠くて険しい道だよ
辿り着くまで涙も乾かない道でしょう
二人手をとって今歩き出したよ
こぼれた涙は夢の雫

いつか二人で もう一度暮らそう
僕につかまり一緒に歩こう
いつか僕らの涙は虹色に輝くさ
君のその瞳 夢を見つめている
僕は手をとって君と歩く
君と歩く
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<白井貴子さんからのメール、抜粋> 2010年6月4日11:47

曲はまだ聞けてませんが、
勿論、私でよければ、是非歌わせてください!

毎日、どんな動きをされているんでしょうか?
いつでもご連絡ください。
奥様とまた再びお話できる日が来ること、
心よりお祈りしています!

白井貴子

とても嬉しい返信が来ました。
曲を聴けていないのは、PCとの相性なのか?音源データがうまく開かないという事でした。それでもすぐに快諾してくれて、本当に嬉しかった。貴子さんと連絡をとったのも、とても久しぶりでしたので、突然このような依頼に失礼にならないか?心配しながら、メールしたのですが、愛情たっぷりで思いのこもった返信をいただきました。抜粋した文章にも表れていますが、貴子さんの迷いのない勢いというか、エネルギーを感じました。

やはり、僕たちは恵まれている。このプロジェクトは、妻のためだけに立ち上がったプロジェクトでした。これで8月に50才を迎える妻に「夢の雫」をプレゼントすることが出来る。一緒に生きていく宣言を歌に託して、妻に届けることが出来る。貴子さんに歌ってもらうことで、メロディーの魅力を最大限に引き出すことができるだろう。なんて贅沢なプライベートプロジェクトだろう(笑) それにしても、メロディーも聴いていないのに、この即答はすごい。本当に嬉しい。しかし、メロディーも詩も、僕の中では自然と貴子さんをイメージしていたわけだから、いい作品が作れると思いました。せっかくならば、塩入さんのピアノで、貴子さんの歌を録音してみたい!素敵な誕生日プレゼントが出来そうだ。

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未分類 | 21:06:54 | トラックバック(0) | コメント(0)

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