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T.Nishijima

Author:T.Nishijima
2010年2月に妻が脳幹出血で倒れる。2013年3月に白雪姫プロジェクトと出会い、積極的なリハビリアプローチを始めるため、その回復への道のりを記録しようと日記をはじめました。また、このプロジェクトの存在を知ってもらいたいと思っています。
http://www.shirayukihime-project.net/

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ベッドサイドからの景色(10)
2010年7月19日(月/海の日)
貴子さんと塩入さんのスケジュールをあわせて、「夢の雫」をレコーディングする日が来た。

14;30に豊洲駅で、従姉妹の娘くるみ、と待ち合わせをして一緒にスタジオへ向かった。
熊本から音楽大学のピアノ科に入り東京に来ているという事を、前日18日にたまたま知り、電話してみたのだ。この日は、息子たちも来るので、ふた従姉妹と言うのかな?こういう場所で会うのも縁だろうと呼ぶ事にした。塩入さんのピアノをスタジオ環境で聴けるなんて、普通は経験できないのだからすごい事だろう。

ピアノの調律も、僕がいつもピアノのプログラムのときに頼んでいる方に来てもらった。
エンジニアも、これまでにKAN、シャ乱Q、谷村有美、白井貴子、スターダストレビュー、杉田二郎、因幡晃、、、、などなど、一緒に仕事をしてきた方で、これまでのレコーディングの中で、さまざまな事を教えてもらった恩師である。そして、このレコーディングがとても素晴らしいものになると感じていたので、貴子さんのレコーディングをそのまま記録しようと思い、ムービーでの記録を友人の映像作家:翁長さん(http://www.if-inc.com/)にも来てもらっていた。さまざまなアーティストに信頼され、ライブ映像、プロモーションビデオを作り続けている人だ。
万全の体制の中、レコーディングが始まるはずだった。

「あれ?」貴子さんが来ない。「少し遅刻しているのかな?・・・。」
とその時に、携帯が鳴った。ギタリストで貴子さんの夫、ホンチからの電話だった。「あー、西嶋さん。貴子がどっちかなぁって言いながら、赤羽橋のスタジオだったはずだって言うから来たんだけど、ちがったみたいで。。。」「えーっ、あんなに話したのにー、、そもそも、そのスタジオ、ピアノないじゃん。もーっ。こういう話はアーティストはダメだなぁ(笑)ま、しょうがない、待ってまーす。」という事で、時間が1時間以上待ち状態となった。

くるみちゃんは、ピアノコンテストが次の日曜日にあると言っていた。では、この隙に塩入さんにピアノを聴いてもらおう、と思いついた。何と言う曲だったかは忘れちゃったけど、ショパンの曲だった。塩入さんは一度自分で弾いてみせてから、その後、1時間みっちり、レッスンをしてくれた。なんせ、他にやることがなかった(笑)

70分後に、貴子さんは「ごめんなさーい」と、何故が高原牛乳の大びん2本をぶらさげて登場した。暑い日だった。きっと、僕の体調を気にして、少しでも元気づけようと持って来てくれたのでしょう。貴子さんはこういう可愛いところがある。1リットル瓶2本は重かっただろうに、思ったことをすぐ行動に移すのだ。その気持ちがありがたい。曲のタイムはたぶん4分程度だからレコーディングはすぐ終わるだろう。一休みしてからスタートすることにした。

Key合わせもしていなかったから、打ち合わせからスタートをする。その打ち合わせで貴子さんの意見と、僕の意見が分かれた。僕が使いたかった貴子さんの声のレンジは、本人にとっては、とても大変な音域だった。しかし、僕はやっぱりそのレンジの声がほしかった。妻のためだけのプライベートプログラムだったので、貴子さんは最終的な判断は僕に委ねてくれた。それで、僕が思っているKeyで歌ってもらうことにした。https://www.youtube.com/watch?v=LkroQujetQk この映像の前半部分のリハーサルと、1分35秒から始まる本番の音源に、半音差があるのはこのためだ。塩入さんは、譜面を書き変えることもなく、すぐに対応してくれたが、ギターでカポタストをしているわけではない。生ピアノである。それも半音の転調を頭の中で行い、そのまま弾くのだ。このKeyだと黒鍵だらけなのに、頭の中はどうなっているのかな?・・・などと思いながらも、まったく流れが止まらず、スムーズに進行して行けるので、いいムードで本番に突入することが出来た。

もう一つ、貴子さんへ条件を出していたことがある。歌える人によくあるのだけど、歌のテクニック的なディテールにこだわって、歌全体の流れの良さを採用せずに、歌い直すこととで、その人のくせや息づかいが消えてしまい、僕にとってはもったいないなぁと思うことを、色々なアーティストで過去に何度か経験していた。なので、今回はカラオケを制作せずに、生ピアノとの同時録音で、“歌い直しは一切なし”という条件でやってもらいたいとオーダーしていた。これが今回の僕のプロデュース方針だった。目的によりますが、歌をちゃんと歌える人はぜひこうあってほしと今でも思っています。昔ある記事でビリージョエルは、レコーディングでもピアノを弾きながら歌を歌っていると書いてありました。ピアノを弾きながら歌うということは、マイクでの録音上、音の回り込みがあるから、絶対に歌い直しは出来ない。それが、あの自然な表現力に繋がっているのでしょう。

このレコーディングは、本番をそのままスタジオの中で映像で記録していたので、貴子さんの歌を妻に映像でも届けたいと思っていた。目が見えているかどうか?分からなかったけど、<聞こえている、見えている>を前提としていました。レコーディングは3テイクとり、2テイク目を採用した。実質の時間はKey合わせなどの打ち合わせに30分、レコーディングは3テイクで休みを入れて30分で終わりました。その後、息子たちも参加して、みなで「ハッピーバースディ」を歌ってレコーディングは終了しました。この「ハッピーバースディ」はとても大切な役割を担っています。妻に「今日が誕生日だ!」とはっきりと自覚させるためのアイテムです。その上で「夢の雫」を聴かせることで、プレゼント曲であること、そして大切なメッセージであることを伝えることが出来るという計画でした。

8月15日(日)1日早いのだが、イブということで息子たちと奥沢病院に集合した。映像はまだ仕上がっていなかったので、音をヘッドホンで聴いてもらいました。まずは、「ハッピーバースディ」そして「夢の雫」を聴いてもらった。これが、ガッカリするほど無表情なのである(笑)しょうがないことは頭では理解していますが、やっぱり心はガッカリするのです。どうしても人間は「求める」生き物なのでしょう。いちばん辛いのは妻であることは、わかっているのですが、このメッセージが心の底に届き、変化を起こしてほしいと僕の心は「求める」のです。無表情ではありますが<メッセージは届いた>・・・ということにして病院を出て、久しぶりに、息子たちと食事に行きました。

8月後半、翁長さんから映像が仕上がったと連絡があり、すぐに見に行った。翁長さんはいつも途中経過は見せてくれない(笑)。納得するところまで追いつめてから、その結果を見せるのだ。途中で色々意見が出て来ても、まだやりのことしている事がある場合、それを口で説明することは難しい。だから、しっかりやりぬいた上で、見せるという方法をとっているのだろう。

翁長さんは、何も説明せずに「まぁ、見てみてください。」と一言。この映像にはびっくりした。まったく予想していない編集だったからだ。僕は貴子さんのレコーディングの流れを、貴子さんを中心に記録する映像として仕上げる予定でお願いしていたからだ。たしかに僕にとっては、ターゲットが一人で目的がハッキリとしている作品だった。しかし、このアプローチには正直びっくりしました。しかし、僕自身の目的をよく考えると、より妻に伝わるものになったと思いました。

翁長さんが妻を見舞いに来てくれた日のことを思い出した。4月26日の午後、翁長さんはカメラひとつ首にぶら下げて病室に訪れ「西嶋さん、記録とっておいてもいいですか?」と言われました。「はい、問題ないです。お願いします。」と僕は答えました。当時の僕は、妻が気が変わっていつ向こう側へ旅だつかと心配していたので、こっち側にいる妻を記録することは賛成だったのです。この日は、病院のスタッフ3名に囲まれて、転院を約束した日でした。そして、午後には気功の先生の二郎さんも来てくれて、妻に気功治療をしてくれた。その治療の途中に翁長さんが見舞いに来てくれたので、そのまま僕の自宅に来てもらいました。それで、あのような映像素材がそろっていたわけだが、まさがそれがこの曲に組合わさることになるとは思ってもみませんでした。

映像を見終わったあと僕はもちろん「ありがとうございます」と言いいました。翁長さんは僕の妻へのアプローチの意味を理解していたから、このような編集にしたのでしょう。そして「この歌を同じ境遇の人に共有するべきだと思う」と、翁長さんのメッセージを付けて後日YouTubeにアップしてくれました。

そう言えば翁長さんは、貴子さんの遅刻での待ち時間に塩入さんが特訓してくれた、くるみのピアノレッスンを全部記録してくれていました。それをすぐに編集してDVDRにしてくれたので、くるみにすぐに渡しました。それを見直しながら、くるみはコンテストまでの数日、集中的に特訓をしたそうです。何と言うコンテストなのか?僕は知らないけど、くるみは全国大会で3位に入賞したと後日、連絡がありました。
貴子さんの遅刻は、すばらしいオマケも生み出しました。
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