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T.Nishijima

Author:T.Nishijima
2010年2月に妻が脳幹出血で倒れる。2013年3月に白雪姫プロジェクトと出会い、積極的なリハビリアプローチを始めるため、その回復への道のりを記録しようと日記をはじめました。また、このプロジェクトの存在を知ってもらいたいと思っています。
http://www.shirayukihime-project.net/

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お誕生日のプレゼント


お誕生日おめでとう。今日で妻は53才になりました。

へんなものだけど、元気なときにはプレゼントなんて買ったことがない。ぼくのスケジュールがあれば、一緒に食事するというのが、誕生日プレゼントといえば、まぁ、プレゼントだった。妻が倒れてはじめて真剣にプレゼントを考えた。目が見えているかどうかわからない。意識があるかどうかわからない。でも、きっと意識はあるけど、表現ができない、Locked in 症候群という状態だろうと思っていたから、脳への刺激、感情への刺激として、フレグランスと音楽というのはとても意識していた。目はあいているけど、どうも焦点はあわない。だったら、やっぱり音楽をプレゼントしたいと思った。それが「夢の雫」という曲だった。翌年は「僕たちのルール」という曲を作った。目がしっかりしてきてからは、お花や、以前飼っていたインコをイメージできる小鳥の飾りとか。インコとはくちばしがちがうから、これはインコじゃないんだけど、キロたんという黄色のインコと、コロたんというブルーのインコ、2羽を一緒にというのは今回初めて。キロたん、コロたん、これが今年のプレゼントでした。

今、端座位を30分終えて、ぐったりしてしまったので、これを書きはじめながら、なんとなく僕らの人生を振返り、考えてみた。大ざっぱに言えば、ふたりの人生は3段階にわかれているように思う。

第一段階:それぞれで生きた25年・・・・出会う前までのそれぞれの人生だ。

第二段階:結婚してからの25年・・・・無謀な僕との二人三脚が、すぐに4人になって、てんてこ舞いのハチャメチャ人生~1999年からの乳がん、闘病、手術、~ 子供も大きくなり、これからはもうすこしゆったりとと思っていた矢先に脳幹出血で倒れた。

第三段階:妻が倒れてからのふたり・・・・突然のことで、目の前が真っ暗になったけど、3日の命と言われ、人工呼吸器を取り付けずに見送ろうと思っていたら、自発呼吸で生き残った。妻が生き残ったことがきっかけで、ある出会いがあり、長男は結婚することになった。きっと、生きる意味があったんだなと思った。子供たちは独立した人生に向かい、がんばって生きはじめた。ぼくは毎日病院に通いながら、どんどん人生をある方向へとシフトして行き、気がつくと、ぼくらなりのスタイルの、“ふたり” で過ごす時間を手にいれていた。いろいろな人たちと出会い、妻は人間交差点のような存在に変化していき、まだまだこれから、どんな人生になるのか? これからのストーリーが楽しみだ。つづく・・・という3段階の人生だと思った。

 
妻が倒れた日に、僕自身がたまたま占った易経の卦(澤水困)には、3年でこの苦しみから抜け出し光を見ることが出来ると書かれてあった。僕にとって3年は一つのキーワードだった。妻の倒れた2月。三年がすぎた時期に色々な事が重なり、退社を決意し実行した。非常にリスキーな決断だったが、あの決断がなければ、かっこちゃんと宮ぷーとの出会いからはじまったリハビリによる、妻の今の回復も、柴田先生を通して伝えてもらえる言葉も得ることはできなかっただろう。人生の喜びとはどこからやってくるのか?本当に人生はわからないものだとつくづく思う日々だ。“しあわせ” には人それぞれの形があり、妻も自分の人生の中で、いつの時期が " しあわせ“ だったかと問われれば、迷うことなく「今だ」と答えると明言している。そんな妻を誇らしく思うし、一緒になってくれたことを今更ながらに感謝する。

まったく身体が動かない妻が、声を出せない妻が、僕らを動かす。
僕は会社を辞めて、違う人生のステージに立った。妻は自分が倒れることで長男の縁結びをし、来月、孫は1才になる。次男はまだまだ苦難の人生だが、これを踏ん張り生抜く力を妻に見ているだろう。確かに妻の存在は、男ども3人にしっかりと影響を与えながら、その力強い炎を思いながら僕らは生きている。

冒頭に書いたけど、はじめて真剣に考えたプレゼントがこの曲だった。
3年前、妻の50才の誕生日にプレゼントした。
https://www.youtube.com/watch?v=LkroQujetQk

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2010・8・16 西嶋清美 50歳 誕生日プレゼントのための歌
「夢の雫」 作詞:西嶋貴丸 作編曲:塩入俊哉 歌:白井貴子

君のその瞳 何を見てるのかな?
僕はそばにいて 君を見てる
話したい事が たくさんあるでしょう
君の唇が ほら動いた
声は・・・ 今は出ないよ
それでも生きるって君は決めたね
遠くて険しい道だよ
辿り着くまで涙も乾かない道でしょう
二人手をとって今歩き出したよ
こぼれた涙は夢の雫


いつか二人で もう一度暮らそう
僕につかまり一緒に歩こう
いつか僕らの涙は虹色に輝くさ
君のその瞳 夢を見つめている
僕は手をとって君と歩く
君と歩く

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この詩は、奥沢病院から自宅への帰り道に生まれた。妻のベッドの背を起こして、声をかけてみるけど無反応な妻。目はどこを見ているのか?視線を感じない。僕は顔を前に突き出して、自分をアピールするのだけど、妻の視線はぼくの顔を通過して、その焦点は僕の顔には結ばない。「君のその瞳、何を見てるのかな?」と始まるフレーズは、そう言えばそんな病室のワンシーンだったなと思い出します。

なんというか、電車の中でつり革を空振りした時のような、そこにあるはずの物がなかった時の虚無感が歌い出しのというフレーズとなり、絶対に守り抜くと力んで思う気持ちと、毎日こぼれ続けた涙は、決して悲しみの涙ではなく、希望のへの「夢の雫」であると、自分に言い聞かせながら、そんな思いで奥沢病院から自由が丘までを歩いた。

あの日から3年が経ち、柴田先生と出会う事ができて、今年の妻は、なんと誕生日を前に今度は自分で「詩」を書いた。それが、とんでもなく力強い、激しいもので驚いた。倒れてから3年間の「こころの流れ」を描いた詩だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こころの流れ」
時間に “流れ” があるように 私のこころも“流れ”があって
古い私が洗われて 新しい私へと蘇る
不器用な私らしい “流れ” だけど
確かにこころは “流れ” をもって歴史を刻み
目にも止まらぬ速さで 呆然と立ちすくむしかない人々を
こころの底から洗い流して行く

なぜ人は喜びと哀しみに もてあそばれてしまうのだろう
私にはわずかに論ずる言葉さえないが 論じられたら言いたいことがある
人は遂にその生を終える瞬間まで流れ続けるこころがあって
悶々とした思いの中で ずっとこころは流れつづけているということを

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まだまだ荒削りではある。しかし、凄みというか、迫力があるものだと感心する。僕はこの詩を見た時に、グランドキャニオンをイメージした。地層が時間と雨の激流に洗われて、新しい景色を作り出す。地球創世を俯瞰から眺めているような壮大なイメージを感じた。

そうして今年は僕が妻に歌をプレゼントするのではなく、妻が僕に言葉のプレゼントをくれた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『息ひとつ メモるその手にレンギョウを』

『強き夜 どれくらいの暗闇か 図りかねつつ朝を待つ』

『良い人生 悪い人生問うなかれ ロウソクは燃え尽きるまで炎なり』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

どれも、すごい迫力だ。レンギョウの詩は、星野富弘さんのレンギョウを引用している。それは自分は傷だらけの身体のようなものですが、そこから優しさが染みてくるというものだ。しかし、妻の詩はそれにあわせて、呼吸の苦しさを心配している僕に、花そのもののもっている気高さ「しっかりと見て、この誇らしい私を」という気持ちを重ねている。

昼間に病院に言ったときに目が開かないときには、夜眠れなかったのか?としきりに心配する僕に、悶々と明けない夜もあるけど、自分の心はしっかりと強いよとメッセージをくれた。

そうしてトドメは、命の力強さをロウソクに喩え、命の炎は、しずかにひたすらに燃え続けるだけなんだよ。私はこのベッドの上で燃え続けているんだよと、メッセージをくれた。

すごい。

その上、柴田先生が来たときに、僕に宿題を出すことも忘れなかった。自分の詩を作品として、何らかの形にしろと言うのだ。ちゃっかりした女だな(笑)ぼくは、難しいことを言いやがると苦笑しながらも、がんばることになる。

53ちゃいおめでとさん。
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未分類 | 15:39:18 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
奥様の存在の意味、ご家族の皆様にいろいろなテーマをくださっていますね。言葉で表すと安っぽくなるのですが、素敵なご夫婦です。他人事な意見ですみません。お仕事で同じように奥様の介護をなさっている家族があります。ご主人は今にもKissをしそうなほど、奥様を愛しています。奥様も目で追います。私は分かっているのだなと理解しています。
2013-08-16 金 17:00:37 | URL | えいこ [編集]
コメントありがとうございます。妻は無言の凄みをもっているので、言葉を一つ聞き出せれば、それはとても重みのあるものになります。そう言った意味で、筆談が出来るようになりたいものです。それにしても、こんなに腹の座っている人だとは知りませんでした。
2013-08-17 土 08:42:40 | URL | T.Nishijima [編集]
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